Topic 19
Likert尺度の集計:Likertプロット+集計表
Likert-scale summary with diverging stacked bar chart and item table
5段階評価のような順序カテゴリ回答を、項目ごとに比較して見せたいときの基本テーマです。中立カテゴリを中心に置いた Likert プロットで、否定・中立・肯定のバランスを読みやすく整理できます。
このページでは、授業アンケートの4項目について、5段階の Likert 尺度回答を要約します。項目ごとの平均値だけに還元せず、回答分布そのものを見せるのがポイントです。
Likert 尺度は順序尺度なので、選択肢の順番と中立カテゴリの扱いを明示することが重要です。ここでは、集計表と diverging stacked bar の両方で整理します。
このページのゴール
- Likert尺度が順序カテゴリデータであることを意識して集計できるようになる
- 項目別の比率表を作り、否定・中立・肯定のまとまりを要約できるようになる
- 中立を中心に置く Likert プロットの読み方を理解する
- アンケート結果の文章化で、平均値だけに頼らず分布も説明できるようになる
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まず押さえる4つのポイント
1. Likert尺度は順序尺度
1〜5 の数値に見えても、隣り合う選択肢の差が常に等しいとは限りません。まずは回答分布そのものを見るのが安全です。
2. 中立を中心に置くと読みやすい
否定側を左、肯定側を右、中立を中央に置くと、項目ごとのバランスを比較しやすくなります。
3. 項目別に比較する
Likertプロットは、複数項目の回答傾向を並べて比較するのに向いています。
4. 平均値だけで終わらない
平均スコアは便利ですが、同じ平均でも分布が違う場合があります。比率表と図を併記すると丁寧です。
Basics
Likertプロットは何を見せるか
各項目に対して、否定・中立・肯定のどこに回答が集まっているかを示すのが Likert プロットです。
今回の例
授業アンケートの 4 項目(clarity, pace, examples, confidence)を扱います。項目によって肯定的な回答が多いか、中立が多いか、否定が目立つかを比較します。
どういうときに向くか
- 複数項目の満足度や態度尺度をまとめたいとき
- 平均値だけでは見えない回答分布を示したいとき
- レポート本文で、どの項目が相対的に高評価かを説明したいとき
Checks
集計前に確認したいこと
選択肢の順序を固定する
1〜5 の意味づけが逆転していないか、肯定方向がそろっているかを先に確認します。
逆転項目の処理
否定的に書かれた設問がある場合、そのまま混ぜると解釈が逆になります。必要なら反転処理します。
項目と尺度得点を区別する
まずは各項目の分布を示し、その後に合計点や平均点を扱うと、説明が自然になります。
Data structure
サンプルデータの概要
96人分の授業アンケートで、4項目を 1〜5 の順序尺度で回答しています。
否定・中立・肯定の要約
| item | 否定寄り | 中立 | 肯定寄り |
|---|---|---|---|
| clarity | 19.8% | 17.7% | 62.5% |
| confidence | 14.6% | 27.1% | 58.3% |
| examples | 5.2% | 20.8% | 74.0% |
| pace | 20.8% | 31.2% | 47.9% |
詳細な比率表
| item | 全くそう思わない | あまりそう思わない | どちらともいえない | ややそう思う | とてもそう思う |
|---|---|---|---|---|---|
| clarity | 7.3% | 12.5% | 17.7% | 41.7% | 20.8% |
| confidence | 6.2% | 8.3% | 27.1% | 34.4% | 24.0% |
| examples | 2.1% | 3.1% | 20.8% | 38.5% | 35.4% |
| pace | 4.2% | 16.7% | 31.2% | 35.4% | 12.5% |
examples 項目は肯定的回答が 74.0% と最も高く、pace 項目は中立が相対的に多い結果でした。
Code
Rコード
wide 形式のアンケートデータを long 形式へ変換して集計すると、項目比較がしやすくなります。
library(dplyr)
library(tidyr)
library(ggplot2)
df <- read.csv("sample-data/sample_likert_summary_course_survey.csv")
likert_levels <- c(
"全くそう思わない",
"あまりそう思わない",
"どちらともいえない",
"ややそう思う",
"とてもそう思う"
)
long_df <- df |>
pivot_longer(-id, names_to = "item", values_to = "score") |>
mutate(label = factor(likert_levels[score], levels = likert_levels))
prop_tbl <- long_df |>
count(item, label) |>
group_by(item) |>
mutate(prop = n / sum(n))
ggplot(prop_tbl, aes(x = prop, y = item, fill = label)) +
geom_col(position = "fill") +
labs(x = "Proportion", y = NULL, fill = "Response") +
theme_minimal(base_size = 13)
# 中立を中心に置く diverging 版は、左右の累積位置を自分で計算して描く
Output
出力のどこを読むか
否定寄り・中立・肯定寄りの3まとまりで見ると、初心者でも項目差を説明しやすくなります。
positive
positive
neutral
negative
この結果をどうまとめるか
4項目のうち、もっとも肯定的だったのは examples で、肯定寄り回答が 74.0% を占めました。clarity も 62.5% と高く、授業内容の分かりやすさに対しては比較的好意的な評価が得られています。
一方、pace は中立が 31.2% と多く、受講者によって感じ方が割れやすい項目でした。confidence は肯定寄りが 58.3% である一方、中立も一定数あり、自己効力感はまだ伸びしろがあると読めます。
Figure reading
Likertプロットをどう読むか
図1 4項目の回答分布を比較する Likert プロット
Figure 1. Likert plot comparing response distributions across four items.
中央が中立
中央の灰色帯が中立で、右に伸びるほど肯定、左に伸びるほど否定が強いと読みます。
右側の広さを見る
右側の青系が広い項目ほど、肯定的回答が多いと分かります。
項目どうしを横比較する
縦に並んだ項目を比べることで、どの項目が相対的に高評価かが見えてきます。
細かい数値は表で補う
図は傾向把握に向きます。正確な割合は集計表も併記すると丁寧です。
Report writing
レポートや論文での書き方
Japanese
結果記述例(日本語)
Likert尺度の集計結果では、examples 項目の肯定寄り回答が最も高く(74.0%)、次いで clarity(62.5%)であった。一方、pace は中立回答が比較的多く(31.2%)、項目によって回答分布のバランスが異なっていた。図1に各項目の回答分布を示した。
English
Report writing example
The Likert-scale summary showed that the examples item received the highest proportion of positive responses (74.0%), followed by clarity (62.5%). In contrast, the pace item had a relatively large neutral segment (31.2%), indicating that response distributions differed across items. Figure 1 summarizes these patterns.
Caption
図表キャプション例
図1 4項目の回答分布を比較した Likert プロット
Figure 1. Likert plot comparing response distributions across four items.
Common mistakes
よくあるミス
平均値だけで結論を書く
平均が同じでも分布は違うことがあります。Likert 尺度では分布の形も示すと丁寧です。
選択肢順を崩す
凡例や棒の並びが毎回変わると、否定と肯定の方向が読みにくくなります。
逆転項目をそのまま混ぜる
尺度の向きがそろっていないと、同じ青でも意味が逆になってしまいます。
FAQ
初心者が迷いやすい点
Q. Likert尺度は平均を出してよいですか?
A. 実務では平均を出すことも多いですが、厳密には順序尺度なので、分布も併せて示すとより安全です。
Q. 中立はどこに置くべきですか?
A. 5件法なら中央に置くのが一般的です。図の説明でも中立を中心にしたことを明示すると親切です。
Q. 群ごとの差も見たいですか?
A. その場合は群 × 回答のクロス集計になり、割合比較やカイ二乗検定のページとつなげると整理しやすいです。
代替手法
代替手法・次の一歩
Likert 尺度は「分布を見せる」のか、「群差を検定する」のか、「複数項目をまとめて尺度得点にする」のかで次に選ぶ方法が変わります。
グループごとの割合比較
単一項目の回答分布を群ごとに見せたいときの基礎ページです。まずは人数と比率を揃えて示せます。
カイ二乗検定
群と回答分布の関連を推測統計で評価したいときの代表的な次の一歩です。
尺度得点の作成
複数項目を合計・平均して連続得点として扱うのは、その次の段階です。信頼性の確認とあわせて検討します。
参考資料
参考資料
このページは、Likert 尺度の集計と可視化に必要な整形・集計・描画の一次資料を中心に整理しています。wide 形式から long 形式へ直す流れと、積み上げ棒グラフの描き方を押さえるのが最初の一歩です。
データ整形と集計
Likert 項目は wide 形式で保存されていることが多いため、まず項目名と回答カテゴリを扱いやすい long 形式に整えるのが基本です。
可視化
複数項目を比較したいときは、likert パッケージの考え方と ggplot2 による手作業の作図を見比べると理解しやすくなります。
運営と利用上の注意
このページの位置づけ
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編集方針
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